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校長式辞

4月の始業式ではダイヤモンドなどのお話をしました。その続きはまたどこかでするとして、今日は、百人一首にまつわるお話をしたいと思います。

 いま夏。百人一首に夏の歌は4つあります。因みに最も数が多いのは秋の歌です。

2番 春過ぎて。。。 持統天皇、  42番 夏の夜は。。。 清原深養父  、81番 ほととぎすなきつる方を。。。 後徳大寺左大臣、  98番 風そよぐ、ならの小川の 従二位家隆

高校生のとき、国語の授業で百人一首を暗記するという宿題が出されました。冬休み明けに試験をするということでした。国語が苦手な僕は、赤点にならなければいいかと考え、半分くらい覚えておけば何とかなるだろうと考えました。とりあえず赤点は何とかなりました。

それから時は流れ、40歳になったころ、親しい大阪市立大学(現在は 大阪公立大学)の建築工学の教授が、「滋野さん、百人一首を覚えたらとってもいいことがあるらしいよ」と教えてくれました。

「へー。どんないいことがあるの」と聞いたところ、 「それはね ・・・・・・・」

 「それはやってみる価値がある。久しぶりに、覚えよう」と決心した僕は 彼がお勧めだと教えてくれた「田辺聖子の小倉百人一首」という本を買い、10日で暗記するという目標を立てました。結局3週間かかりましたが覚えることができました。

大学受験のとき、試験に出る英単語などに挑みましたが最後まで行きつくことはできずに終わっていました。その反省から、そのときは、はじめからではなく、「最後の100番~91番」 「50番から60番」などと順番を変えて、やがて目標に到達しました。

覚えきった後は頭を動かすと零れ落ちそうな気がしました。得することだとわかればやれるものだとも思いました。やってみる価値はありました。何とも言えない不思議な感覚になった。そんな気分でした。

どんないいことがあったのか、ありました。それはいまも続いています。

詳しくは2学期の始業式でお話しするとして、改めて、学ぶことは物事を判断するときにとても大事なものだということ、学んでいけば見えなかった世界が見えてくること、高いところに登れば、遠くが見えるというのと同様だということが、実感できるようになりました。それは、どう生きるかという選択肢が広がることでもあります。

受験が目の前に迫って覚えることばかりという人もいると思います。受験だけでなく必ずその知識は生きてきます。この夏休み、是非、目標に挑んでください。有意義に過ごしてください。

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