二学期終業式 良いお年を!
終業式 校長式辞より
今から10年くらい前のことですが、京都の本屋さんで、授業のネタになる本を探していると「老後も進化する脳」という単行本が目に留まりました。著者は、ノーベル賞受賞者、リータ・レーヴィ・モンタルチーニというイタリア人。 驚いたのは、著者は当時100歳だということでした。2012年に他界されたという報道がありました。
ミケランジェロ、ガリレオ、ピカソたちが老齢になっても活躍できたのはなぜか。具体的なデータは、少ないものの、鍛えればシナプスという神経細胞の接点がつながって豊かな発想が生まれるというのは理解できました。当時、25歳を過ぎると脳細胞がドンドン減少すると言われていましたから、身体と同様に脳を鍛えないといけないと痛感しました。ノーベル賞科学者の解説がとても分かりやすく面白かったのを覚えています。
早速、行動に移さないといけないと思い、同じ日にもう一冊、東北大学の脳科学者川島隆太教授の「脳を鍛える」を買いました。その中にあった、古文の冒頭を暗記するというのをやってみることにしました。こうしたものを覚えているというのは格好いいかもしれないとも思いながら。
「行く川のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。」
きっかけは脳を鍛えることでしたが、面白いもので、平安時代末期の様子を想像しつつ方丈記の先をよんでみると、この時代に京都の町で竜巻が発生したこと、火事や地震など災害がたくさん発生したことを知り、改めて私たちの祖先も予期せぬ自然災害と向き合い生きてきたことが理解できました。
今年1年を振り返ると能登の地震や豪雨災害、猛暑、衆議院選挙にともなう政治活動の変化などどんどん社会が動いています。4月から始めた舞Way!という探究の時間は、自分の頭で考え、人の痛みがわかり、違いを乗り越えて未来をつくっていく人として自分がどう生きるかを考えるための時間です。
11月20日の発表会で、2・3年生の人は、自分の考えを人に発表することに挑戦しました。初めての発表会であり、まだまだ問いとしては浅いものもあったかと思いますが、見に来てくれた人からはたくさんのコメントをいただきました。日星高校の生徒がどのように成長していくか見守ってくれています。
また、12月12日の看護科19期生のケーススタディ発表会は、校長として初めて見せていただきました。時間がなく二人の発表しか見られませんでしたが抄録は全て読みました。皆さんの看護師としてのキャリアにつながる探究活動で、発表や質疑応答、発表者への評価コメントも素晴らしいものでした。先行研究を学びながら最適な看護を考える看護師として育ってほしいと頼もしく拝見しました。
NHKの今年前半の連続テレビ小説「虎に翼」で、日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリーでしたが、主役のともこが「はて?」という台詞(セリフ)で問いを考えていくのがとても印象的でした。
1月29日には、舞Way!の最終報告会があります。1・2年生の探究活動がどのように進むのか、あと一月あまり、脳を鍛え自分で考えた問いとしっかり向き合ってください。
良いお年をお迎えください。